
「梅毒って痛いんですか?」
診察室でも聞かれることがとても多い質問です。
・陰部にしこりができたけど痛くない
・少し痛みがあるから梅毒ではない気がする
・ネットでは“梅毒は無痛”と書いてある
こうした情報が混ざってしまい、不安になっている方が非常に多いと。
結論から言うと、梅毒でも痛みが出ることはあります。
逆に痛みがないから梅毒ではないとも言えません。
この記事では、性感染症の診療を行う医師の立場から
梅毒の痛みの特徴
痛みが出るケース
痛みで判断してはいけない理由
をわかりやすく解説します。
医学書では梅毒はよく
「無痛性の潰瘍」
と説明されています。
これは梅毒の初期症状である
「硬性下疳(こうせいげかん)」
が、痛みを伴わないことが多いためです。
梅毒は皮膚や粘膜の小さな傷から侵入して感染します。
感染した場所に次のような症状が出ることがあります。
| 症状 | 特徴 |
|---|---|
| 初期硬結 | 小さなしこり |
| 硬性下疳 | 軟骨のようなしこりを伴う、皮膚のただれや潰瘍 |
| リンパ節腫大 | 太ももの付け根などの腫れ |
教科書的には、これらは症状が出ても痛みが少ないとされています。
《出典》

実際の診療では、
痛みを感じる患者さんも珍しくありません。
梅毒のしこりや潰瘍がある人の中で
約3割程度は痛みを伴うとも言われています。
理由はシンプルで、
痛みの感じ方は個人差がある
傷の深さや場所によって違う
二次感染が起きる場合がある
からです。
例えば同じ切り傷でも
ほとんど痛くない人
かなり痛い人
がいますよね。
それと同じで、梅毒の場合でも感じ方には大きな差があります。
つまり、「梅毒=無痛」ではありません。
そのため、痛みの有無で梅毒かどうかという判断は出来ないのです。
梅毒で痛みを感じることがある場所は、主に感染した場所です。

| 部位 | 例 |
|---|---|
| 陰部 | 陰茎・膣・外陰部 |
| 口の中 | 舌・唇・のど |
| 鼠径部 | 太ももの付け根のリンパ節 |
| 首 | 頸部リンパ節 |
特に多いのは
陰部のしこり
リンパ節の腫れ
です。
リンパ節の腫れは医学書では
「無痛性リンパ節腫大」
と説明されることがあります。
しかし実際には
押すと痛い
歩くと違和感がある
というケースもよくあります。

多くの場合、梅毒の痛みは
激痛ではないことが多い
とされています。
患者さんの表現では
少し触ると痛い
違和感がある
押すと痛む
というレベルが多いです。
ただしこれも個人差があります。
さらに
他の細菌感染
傷の炎症
摩擦
などが加わると、痛みが強くなることもあります。
つまり、痛みの強さだけで病気を判断することはできません。
「痛いから梅毒ではない」
「痛くないから梅毒だ」
これはどちらも間違いです。
理由は大きく3つあります。
① 梅毒でも痛むことがある
② 痛みの感じ方は人によって違う
③ 他の病気と区別がつかない
特に問題になるのが、性器ヘルペスとの違いです。

梅毒の初期症状は、実は性器ヘルペスととても似ていることがあります。
一般的には次のように説明されることが多いです。
| 病気 | 痛み | 見た目 |
|---|---|---|
| 梅毒 | 痛くないことが多い | しこり・潰瘍 |
| ヘルペス | 痛いことが多い | 水ぶくれ・潰瘍 |
しかし実際の診療では、この通りにならないことも多いです。
例えば
・梅毒でも痛みがある
・ヘルペスでも痛みが弱い
・見た目がそっくり
というケースは珍しくありません。
特に再発性のヘルペスでは、痛みがほとんどないこともあります。
つまり、症状だけで区別することは不可能と考え、
きちんと医療機関で診察や検査を受けることが大切です。
意外に知られていませんが、性感染症では
複数の感染が同時に起こることもあります。
例えば
・梅毒とヘルペス
・クラミジアと淋菌
などです。
実際の医療現場でも
梅毒とヘルペス
という重複感染は珍しくありません。
この場合、
痛みはヘルペス
しこりは梅毒
というように症状が混ざることもあります。
そのため、見た目だけで自己判断するのはとても危険です。

結論から言うと、
男女で痛みの差はほとんどありません。
梅毒は性別ではなく
感染した場所
によって症状が変わります。
例えば
| 感染部位 | 症状 |
|---|---|
| 陰部 | しこり・潰瘍 |
| 口 | 口腔内のしこり・潰瘍 |
| のど | 潰瘍 |
| 鼠径部 | リンパ節腫大 |
男女ともに同じような症状が起こります。
ただし、女性の場合は膣の中など見えない場所にできることがあります。
そのため気づきにくく、無症状と思ってしまうケースも少なくありません。
梅毒で重要なのはここです。
症状が出ないことも多い、という点です。
つまり
痛みがある
痛みがない
以前に、症状そのものがない場合もあります。
また梅毒の初期症状は、自然に消えることがあります。
ここで多くの人が
「治った」
と思ってしまいます。
しかし実際には体の中で感染は続いています。
そのまま数ヶ月〜数年すると
全身の発疹
脱毛
神経障害
などの症状が出ることもあります。

もし次のような状況がある場合は注意してください。
陰部にしこり
原因不明のただれ
リンパ節の腫れ
不安な性行為があった
この場合は、痛みの有無に関係なく検査が必要です。
また、感染の可能性がある場合は、
相手にうつすことにもつながるキス以上の性行為は控えることも大切です。
梅毒は
性行為
オーラルセックス
キス
でも感染することがあります。
パートナーを守る意味でも、早めの検査がとても重要です。
《出典》
梅毒の痛みについて重要なポイントをまとめます。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 痛み | ないことが多いが出る人もいる |
| 割合 | 痛みを感じるという人は約3割程度 |
| 判断 | 痛みの有無だけでは診断できない |
| 鑑別 | ヘルペスと見分けは困難なことがある |
| 必要なこと | 検査を受けること |
特に覚えておいてほしいのは
「痛みで判断しない」
ということです。
梅毒は
痛いこともある
痛くないこともある
症状がないこともある
とても紛らわしい病気です。
だからこそ、
検査だけが確実な判断方法になります。
もし
気になる症状がある
不安な行為があった
という場合は、早めに検査を受けてください。
早期に見つかれば、梅毒はきちんと治療できる病気です。
あなたが安心して生活できることを心から願っています。
東京都港区新橋2丁目16−1
ニュー新橋ビル3階 330(男性) 339(女性)