咽頭淋病(淋菌)

目次

 

咽頭淋病(淋菌)とは

淋病は性行為(セックス、オーラルセックス、キス)を感染経路とする性病です。

性器への感染が多いですが、性器だけでなく咽頭にも感染することがあります。

それが、咽頭淋病といわれるものです。

咽頭の淋菌の感染は最近とくに増加の傾向があります。

男性尿道炎患者からの尿道分泌物の塗抹標本(グラム染色)  
左:淋菌を貪食している白血球(好中球)。胡麻のように見えるのが淋菌で、2個対になっている。
 右:貪食をしていない通常の白血球。
情報元:国立感染症研究所ホームページ

アダルトビデオや性風俗の一般化でオーラルセックスに対する抵抗が少なく、感染予防のない性交渉を日常的におこなっている傾向が高まるにつれて咽頭感染の相談が増えてきました。

性器への感染がなくても咽頭に感染している症例が多くなっていますので注意が必要です。

当院による淋病
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患者数の推移

平成30年から令和3年の年齢別での淋菌感染症の患者数推移を男女別にグラフ化しました。

 

情報元:厚生労働省> (数値を当方でグラフにしました)無断転載禁止

症状

  • のどの痛み、腫れ、咳、発熱などの風邪のような症状。
  • ■のどの見た目に明らかな変化なし。
  • ■クラミジアや淋病に感染した人の10〜30%は咽頭からも菌が検出されます。
  • 咽頭炎、扁桃腺炎などといった病気が発症します。

咽頭淋病は、咽頭クラミジアと同じで症状があまりなく、のどの痛みや腫れといった風邪に似た症状が出ます。

潜伏期間は2~7日です。

風邪と勘違いしてそのままにしてしまったり、風邪薬を飲んでいたりと咽頭淋病に気づかず放置してしまい悪化すると、咽頭炎・扁桃腺炎といった病気を発症してしまいます。

【淋病の感染例】
・性器の結果は陰性だったので安心していたが、後に咽頭の方で感染していたことが分かり、知らないうちにパートナーにも感染させてしまった。

検査方法と検査ができる時期

うがいの検査

感染機会から24時間以上経過で検査可能です。

精密検査・即日精密検査の違い

即日簡易(迅速)検査/簡易検査キット「イムノクロマトグラフィー法」による方法

のどの淋病にはそもそも適応がありません。

精密検査(SDA法やPCR法)

症状なしでも検査可能
通常検査会社に検査を委託して行う方法、但し医療機関によって異なる。

結果:2〜7日後

即日精密検査(TMA法)

症状なしでも検査可能
医療機関内で専門の機器を備えて行う。

【結果】
前半診療受付:当日の夕方以降に判明
後半診療受付:翌日の昼12時までに判明

遺伝子による核酸増幅法の種類

PCR法

二重螺旋構造になっているDNAを熱によりに分解。
分解された部分に酵素がくっついていき、DNAを伸ばして増幅して行く方法。

TMA法

1つの細胞に1個しかないDNAの遺伝子ではなく、数千個存在しているrRNAの遺伝子をターゲットにする。ターゲットとなったrRNAに酵素がくっついてDNAの合成と分解を繰り返し、RNAを増幅させていく方法。

※当院ではクリニックに隣接する登録衛生検査所にて、TMA法を用いて即日精密検査をおこなっています。

 

迅速即日精密検査(TRC法)

即日精密検査(TMA法)より早く結果が判明します。

検査結果:最短2時間 再検査時4時間〜翌日
※受付時間に制限あり(平日18時まで、土日祝16時まで)
※メンズ・レディースセットの確認検査はTMA法のみ
※追加で3,300円費用が発生します。

TRC法
定温度で核酸(RNA)を増幅する転写-逆転写の協奏的反応と、増幅された核酸と結合することで 蛍光を発するプローブというものを使用する反応を組み合わせた方法。

従来の方法に比べ、一定の温度で転写-逆転写反応が連続的に進行するため標的核酸の迅速な増幅が可能であり、 TMA法と同様にRNAを標的としているので高感度な検出も可能である。

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クラミジア、淋病
における即日検査とは? >

治療方法

抗生剤の点滴(30分)

合併症等が無い場合には、通常は1回の点滴で治療が終了します。
また、クラミジアなど他の菌に感染していることも少なく無いので、その可能性を考えて飲み薬の抗生物質を併用する場合もあります。

治療後は菌が消えたことを確認するために再検査を受けることが望ましいですが、治療直後は死菌の影響で結果が陽性となってしまう可能性があるため、治療後1ヶ月程度経過してから再検査を受けることが望ましいです。

情報元:CDC>

予防方法

予防にはまず、不特定多数の相手との性的接触をしないことを第一に、オーラル行為も含めた性的接触時には必ずコンドームを、正しく使用するようにしましょう。

また、無症状でも感染している場合があるので、パートナーとともに定期的な検査を受けて、早期の発見と治療を行うことが、感染の拡大を防ぐためにも重要です。

予防薬

近年、淋病をはじめとする性感染症の予防法として、抗生物質を用いた予防内服が注目されています。
主な方法として、Doxy-PEP(ドキシペップ)とDoxy-PrEP(ドキシプレップ)があります。

Doxy-PEP(ドキシペップ)
→リスクのある性行為後72時間以内にドキシサイクリンを内服

Doxy-PrEP(ドキシプレップ)
→ドキシサイクリンを毎日内服

これらは、ドキシサイクリンという抗生物質を使用することで、淋病だけでなくクラミジアや梅毒などの性感染症も一定程度予防できると考えられている療法です。

しかしながら、当院では薬剤耐性菌の増加リスクや長期的な抗生物質使用による副作用の可能性などの理由から、これらの予防法を推奨しておりません。
繰り返しになりますが、性感染症の予防には、コンドームの適切な使用や定期的な検査など、従来の方法もとても重要です。

Doxy-PEP
Doxy-PrEPについて>

 

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