梅毒の部位ごとの症状(首、背中、お腹、足の裏)をステージごとに徹底解説

目次

   

はじめに

梅毒という感染症は、近年日本国内で急増しています。梅毒の特徴として、性器だけでなく、首・背中・お腹・足の裏など全身の皮膚にも症状が現れます。
これらの皮膚症状は非常に重要なサインとなります。

しかし実際には、ニキビ、あせも、ストレス性の湿疹、蕁麻疹、水虫などと誤って自己診断され、受診が遅れてしまうことが多くあります。
梅毒で現れる発疹は、たとえ見た目は軽い発疹であっても、体の内部では細菌が広がり続けるため、早めの診断や治療が重要になります。

本記事では、梅毒の部位ごとの症状を「首・背中・お腹・足の裏」に分けて詳しく説明し、さらに第1期・第2期・第3期の時期ごとに症状がどう変化するのかを丁寧に解説します。心当たりがある方は、早めの検査をおすすめします。

梅毒とはどんな感染症?

梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌によって起こる感染症です。
感染経路や症状が幅広く、また症状が自然に消えてしまう期間があるため、感染に気づきにくいことが特徴です。

梅毒トレポネーマ

梅毒トレポネーマの顕微鏡画像
情報元:CDC>

感染の多くは性行為からですが、オーラルセックスやディープキスでも十分にうつる可能性があり、感染の原因となり得る接触が多岐にわたる点が、他の性感染症との違いです。

梅毒の症状は段階ごとに別れているのが特徴であり、性器にしこりや潰瘍が生じる第1期から、全身に赤みや発疹が広がる第2期、さらに治療せずに放置した場合には深刻な第3期以降へと進行していきます。
また症状の出方は個人差が大きく、性器だけではなく、首や背中といった一見関係のない部位に変化が現れることも珍しくありません。

とくに第2期以降では、足の裏や手のひらといった場所にも特徴的な症状が見られることがあるため、梅毒の可能性を考える上で、こうしたサインを見逃さずに気づくことが、早期発見の鍵となります。

梅毒は時期によって症状が大きく変わる

梅毒は一般的に4つの時期に分けられます。まず第1期では感染した部位に硬いしこりや潰瘍(初期硬結や硬性下疳)ができ、痛みはほとんどありません。第2期では細菌が全身へ広がり、首・背中・お腹・足の裏・手のひらなどにバラ疹と呼ばれる特徴的な淡い発疹が出ることがあります。ただし、バラ疹以外の発疹が出ることもあり、また症状が出ないことも多いです。
その後、症状が一時的に消える潜伏期をはさみ、その間も治療せずに放置すると第3期さらには第4期へ進行し、心血管や神経系に深刻な影響が出ることがあります。

部位ごとの症状を理解するためには、まず「どの時期に起きやすい症状なのか」を押さえておくことが重要です。以下では首・背中・お腹・足の裏という主要な部位について、第1期から第3期までの段階ごとの出方を詳しく説明します。

首に現れる梅毒の症状

第1期では、
梅毒は主に感染した場所にしこりが出るため、首に症状が出ることはほとんどありません。しかし、口や唇、のどで感染した場合には顎の下や首筋のリンパが腫れることがあります。これらは痛みが軽く、風邪や疲労と見間違えるケースがしばしばあります。首周辺に違和感やしこりを感じたときは放置せずに診察を受けましょう。

第2期に入ると、
首にも赤い斑点や薄い発疹が出ることがあります。これらの発疹は首の側面やうなじ、鎖骨周辺に広がることがあり、ニキビや汗疹、乾燥による肌荒れと混同されやすいのが特徴です。首のリンパ節の腫れが続く場合や、痛みは少ないが硬く感じるしこりがある場合は、梅毒を疑って検査を受けることをおすすめします。

第3期においては
首周辺にゴム腫と呼ばれる硬いしこりが現れることがあります。早期治療が普及している現代日本では第3期まで進行することは稀ですが、治療しなければ皮膚の変形や深い傷跡が残る場合もあるため注意が必要です。

背中に現れる梅毒の症状

第1期には
背中に直接症状が出ることはほとんどありません。ただし第1期の段階を過ぎて第2期に移行する際、倦怠感や微熱など非特異的な症状が先行することはあります。

第2期では
背中は非常に症状が出やすい場所です。全身に散らばる発疹が背中全体に広がり、大小さまざまな赤みが混在します。これらの発疹は痛みやかゆみがほとんどないため、乾燥やストレス性の肌トラブルと誤解されやすく、自己判断で市販薬に頼って改善が見られないケースが多く見られます。肩甲骨の周りや背骨沿いに線状の発疹が出る場合もあり、自分では気づきにくいことがあるため、背中の変化に気づいたら鏡で確認などを行い、気になる点があれば相談してください。

第二期梅毒(背中)

背中の発疹
情報元:EMRA>

第3期に進行した例では、
背部の皮膚や筋膜に硬い腫瘤(ゴム腫)が形成されることがありますが、これは極めてまれです。早期に発見・治療することで進行は防げます。

お腹(腹部)に現れる梅毒の症状

第1期では
お腹に症状が出ることはほとんどありません。ただし感染後の体調不良が続く場合は第2期の前兆である可能性があるため、単なる倦怠感として放置しないことが肝心です。

第2期での
腹部症状は比較的見落とされやすいものの、胸から腹部にかけて赤い点が現れることが多く、密度の濃い部分と薄い部分が混在します。これらは湿疹や蕁麻疹と誤認されやすいものですが、梅毒性の発疹である場合は、かゆみがないことも多く、市販薬に反応しにくい点が特徴です。場合によっては肝臓に影響が及び、軽度の肝機能障害として疲労感や食欲不振が同時に見られることもあります。

第二期梅毒(腹部)

腹部のバラ疹
情報元:CMAJ>

第3期では
稀に腹壁の皮下に硬い結節ができることがあります。いずれにせよ、腹部に原因不明の発疹や持続する体調不良がある場合は専門医に相談することが望ましいです。

足の裏に現れる梅毒の症状(特徴的なサイン)

足の裏は臨床上、梅毒を疑う強力な手がかりとなる部位です。
第1期
足底に症状が出ることは稀ですが、
第2期になると
足底に赤い斑点状の発疹が出るケースが多くみられます。これらの発疹は円形や楕円形で皮がめくれることもあり、水虫や魚の目と誤診されることがしばしばあります。痛みやかゆみが少ないため自覚するのが遅れがちです。

また扁平コンジローマといった湿った盛り上がりが足の裏に現れる場合もあり、これも水虫と間違われやすい特徴があります。市販薬を使用して効果がない場合や、両足に出るような発疹がある場合は、梅毒の検査を検討してください。

梅毒第2期

足の裏の発疹
情報元:CDC>

第3期まで放置した極端な例では、
足底に深い潰瘍や組織破壊が起こることがありますが、現代の治療環境ではほとんど見られない重篤な症状です。

足にできたゴム種

足に生じたゴム腫
情報元:MSD Manuals>

梅毒の症状が消えても「治ったわけではない」

梅毒の厄介な性質の一つに、皮膚症状が自然に一度消失することがあります。
首や背中、お腹、足の裏に出ていた発疹が消えた場合、多くの方は「治った」と判断しがちですが、症状が消えても体内に菌は残存しており、感染力や進行のリスクが継続しています。
特に妊娠中であれば先天梅毒のリスクがあるため、症状が消えた後も検査で状態を確認することが重要です。

どんなときに受診すべきか

次のような状況に当てはまる場合は特に早めの検査をおすすめします:
原因不明の発疹が首・背中・お腹・足の裏に出ている、赤い斑点が数日から数週間続いている、かゆみや痛みのない皮疹に心当たりがある、性行為やオーラルセックスの機会があった、パートナーが検査をすすめてきた、市販薬で改善しない皮疹が続いている、などです。
あおぞらクリニックでは、梅毒を含む複数の性感染症検査を短時間で行うことができ、匿名での相談にも対応しています。

心当たりがあれば検査をしましょう

梅毒の検査と治療について

梅毒は血液検査で診断できます。あおぞらクリニックで実施している検査はRPR検査(主に活動性をみる検査)とTP抗体検査(主に感染の有無を確認する検査)です。
採血のみで結果が得られ、治療を開始すれば完治が期待できます。治療は主にペニシリン系の薬剤を用い、早期であれば短期間で改善が見られることも多いです。

治療後は抗体価の推移を追って経過観察を行い、再感染の有無や治療効果を確認します。パートナーへの情報共有や接触を停止するなど、感染拡大防止のための対応も重要です。

梅毒の予防の基本

梅毒は予防が可能な感染症です。予防の基本はコンドームの使用ですが、オーラルセックスやキスなど性器以外の接触でも感染する可能性があるため、注意が必要です。
定期的にパートナーと検査を受ける習慣を持つこと、発疹など普段と違う症状がある場合は早めに医療機関に相談することが、早期発見と予防につながります。
早期発見・治療を行えば後遺症が残ることはほとんどありません。

定期的な検査がおすすめ

よくある質問(Q&A)

Q:発疹が消えたら検査は不要ですか?
A:不要ではありません。症状が消えることがあるのは梅毒の特徴であり、治ったわけではありません。検査で感染の有無を確認してください。

Q:足の裏の発疹は必ず梅毒ですか?
A:必ずではありませんが、足の裏の発疹は梅毒の典型的な症状の一つです。専門医による水虫などの他の病気との鑑別が必要ですので検査をおすすめします。

Q:パートナーに知られずに検査できますか?
A:あおぞらクリニックでは匿名検査・匿名相談に対応しています。プライバシーを守った形で検査可能です。

Q:治療期間はどれくらいですか?
A:症状や検査の結果などによって医師が個々に判断します。早期発見であれば数週間の内服で治療を行いますが、お薬の内服終了後も定期的な血液検査で治療の効果判定を行います。

まとめ

梅毒は首・背中・お腹・足の裏といった性器とは離れた場所にも多様な症状が現れます。
特に第2期の発疹は非常に特徴的なため、かゆみがない赤い斑点のような症状が出た場合は梅毒の可能性を考えることが重要です。
症状は自然に消えることがありますが、それは完治したという意味ではありません。
少しでも「普通の皮疹と違う」と感じたら、早めの検査を心がけて下さい。
あおぞらクリニックでは、梅毒を含む性感染症の検査・診断・治療を行っております。
お困りの際はどうぞご相談ください。

 

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