「おしっこをすると少ししみる」
「尿道がムズムズする」
「朝だけ違和感がある」
「一度症状が出たけど、今は少し良くなった」
このような症状があると、
「そのうち自然に治るのでは?」
「病院に行くほどではないかもしれない」
と考えてしまう方も少なくありません。
特に男性の場合、尿道炎は性感染症(STD・STI)が原因になっていることも多く、症状が軽いからといって安心できる病気ではありません。
実際には、一時的に症状が軽くなっても感染自体は続いているケースが少なくありません。
また、尿道炎はクラミジアや淋菌だけでなく、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、トリコモナス、一般細菌、カンジダなど様々な原因で起こります。
この記事では性感染症内科の立場から、
についてわかりやすく解説します。
尿道炎とは、尿道に炎症が起きている状態のことです。
尿道とは、膀胱にたまった尿を体外へ排出するための管です。
男性の尿道は女性より長く、感染や炎症が起こると、
などの症状が現れることがあります。
まず知っておいていただきたいのは、正常な尿路は基本的に無菌であるということです。
つまり、細菌や病原体は本来存在していません。
そのため、何らかの病原体が尿道の入口から侵入すると炎症が起こることがあります。
イメージとしては、きれいな水道管の中に汚れが入り込むようなものです。
侵入した病原体が増殖すると、尿道の粘膜が刺激されて症状が出ます。
性感染症内科で診療していると、尿道炎の原因は大きく以下に分けられます。
| 原因 | 特徴 |
|---|---|
| 淋菌 | 強い痛みや膿が出やすいが、症状に乏しいこともある |
| クラミジア | 症状が軽いことも多い |
| マイコプラズマ | 長引く尿道炎の原因になる |
| ウレアプラズマ | 軽症でも感染が続くことがある |
| トリコモナス | 比較的まれだが感染する |
| 一般細菌 | 性行為以外でも起こる |
| カンジダ | 比較的まれだが尿道にも感染する |
| ヘルペス | まれに尿道内に病変ができる |
近年はクラミジアや淋菌だけでなく、マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査を行う医療機関も増えてきています。
「尿道炎=性病」と思われがちですが、必ずしもそうではありません。
もちろん、
によって感染するケースは非常に多いです。
しかしそれだけではありません。
自慰行為の際に手指や器具から一般細菌が侵入したり、不衛生な状態で尿道に細菌が入り込んだりすることで炎症が起こることもあります。
そのため、
「性交していないから絶対に性病ではない」
とも言い切れませんし、
逆に
「症状が軽いから一般細菌だろう」
とも判断できません。
実際には検査をしなければ原因は分からないことが多いのです。
近年増えているのがオーラルセックスによる感染です。
のどには様々な細菌が存在しています。
そのため、
などが咽頭(のど)に感染している場合、フェラチオによって尿道へ病原体が移ることがあります。
「挿入はしていないから性病ではないと思った」
という患者様も少なくありません。
しかし実際にはオーラルセックスのみで感染するケースは珍しくありません。
尿道炎の症状は原因となる病原体によって大きく異なります。
もっとも有名な症状です。
おしっこをした時に、
といった症状が出ることがあります。
特に淋菌では強い痛みが出ることがあります。
患者様からよく聞くのが、
「痛いというほどではない」
「なんとなく気になる」
という症状です。
尿道炎は必ずしも激しい症状が出るわけではありません。
違和感だけで感染しているケースもあります。
また炎症の感じ方には個人差があります。
同じ程度の炎症でも、
強く痛みを感じる方もいれば、
ほとんど気にならない方もいます。
そのため症状の強さだけでは感染の有無は判断できません。
尿道から透明な分泌液が出たり、黄色や白色の膿が出たりすることがあります。
特に淋菌感染では膿が目立つことがあります。(症状がないこともあります。)
一方でクラミジアやマイコプラズマ、ウレアプラズマでは分泌液が少なく、自分では気づかないケースもあります。
実は非常に重要なのがここです。
尿道炎は無症状のことがあります。
つまり、
「症状がない=感染していない」
ではありません。
特にクラミジアやマイコプラズマ、ウレアプラズマでは症状が軽い、あるいは全くない状態で感染が続いていることがあります。
そのため、
という場合は、症状の有無だけで判断しないことが大切です。
尿道炎で最も多い疑問が、
「放置しても治りますか?」
というものです。
結論からいうと、原因によって答えは異なります。
少量の一般細菌による軽い炎症であれば、排尿によって細菌が洗い流され、自然に症状が改善することがあります。
しかし、ここで注意が必要です。
症状が改善したからといって、必ずしも感染がなくなったとは限りません。
特に性感染症が原因の場合は考え方が大きく異なります。
前半でお伝えしたように、少量の一般細菌による軽い炎症であれば自然に症状が改善することがあります。
しかし、多くの方が心配している性感染症による尿道炎は話が別です。
性感染症内科で診療していると、
による尿道炎が非常に多くみられます。
これらは自然に尿道から排出されて治るものではありません。
症状が軽くなったとしても病原体そのものが体内に残っていることが多く、感染は継続しています。
症状が弱くなることがあり、
「治ったと思っていたら検査で陽性だった」
というケースも珍しくありません。
ここは多くの方が誤解しているポイントです。
痛みやかゆみ、違和感などは炎症によって起こります。
しかし炎症の程度と感染の有無は必ずしも一致しません。
例えば風邪でも、
熱が下がったからといってウイルスが完全にいなくなったとは限りません。
尿道炎も同じです。
感染初期には強く炎症が起きていても、その後身体が慣れることで症状が弱くなることがあります。
ところが病原体は残っているため、
可能性があります。
つまり、
「症状がなくなった=完治」
ではないのです。
もっとも多い問題がパートナーへの感染です。
症状が軽くても病原体が残っていれば感染力は残っています。
特にクラミジアは無症状感染が多いため、
本人は治ったと思っていてもパートナーへ感染させてしまうことがあります。
その結果、
などの原因になることがあります。
男性では感染が尿道だけで終わらないことがあります。
病原体が奥へ進むと、
などを起こす可能性があります。
すると、
などの症状が出ることがあります。
炎症が長期間続くと、
「なんとなく尿道が気になる」
「治療して検査は陰性になったのに違和感が残る」
という状態になることがあります。
早期に診断・治療する方が症状が長引きにくい傾向があります。
尿道炎は原因によって治療法が異なります。
原因が分からないまま治療すると改善しないこともあります。
そのため、まずは検査で原因を特定することが重要です。
これらは一般的に抗菌薬(抗生剤)の内服で治療します。
ただし近年は薬剤耐性の問題もあり、
自己判断で個人輸入などの薬を飲むことはおすすめできません。
検査結果に基づいて適切な薬剤を選択することが重要です。
淋菌は耐性菌が増えているため、
現在は抗菌薬の注射や点滴による治療が標準となっています。
以前のように飲み薬だけで治療できるケースは限られています。
トリコモナスは細菌ではなく原虫です。
そのため抗生剤では治療できません。
専用の抗原虫薬による治療が必要になります。
カンジダは真菌(カビ)の仲間です。
抗生剤では効果がありません。
抗真菌薬を使用して治療します。
糖尿病や免疫低下などが背景にある場合もあります。
《出典》
尿道炎は症状だけでは原因が分かりません。
例えば、
などは症状が似ています。
逆に同じクラミジアでも、
症状が強い人もいれば全く症状がない人もいます。
つまり、
「症状から原因を当てる」
ことには限界があります。
そのため性感染症専門クリニックでは、
尿検査やPCR検査などの核酸増幅法によって病原体を確認したうえで治療方針を決定します。
以下に当てはまる場合は早めの検査をおすすめします。
| 症状・状況 | 受診の目安 |
|---|---|
| 排尿時にしみる | 早めの受診推奨 |
| 尿道がムズムズする | 検査推奨 |
| 膿や分泌液が出る | 早めの受診推奨 |
| パートナーが陽性や、不安な行為があった | 症状がなくても検査推奨 |
| オーラルセックス後に違和感 | 検査推奨 |
| 一度症状が出て自然に改善した | 検査推奨 |
症状だけでは判断できないため、不安がある場合は検査で確認することが最も確実です。
尿道炎は原因によって自然治癒する可能性があるものと、自然治癒が期待できないものがあります。
少量の一般細菌による軽い炎症であれば改善することもありますが、クラミジア、淋菌、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、トリコモナスなどの性感染症は自然に治ることは基本的に期待できません。
また、一時的に症状がなくなっても感染が残っていることは珍しくありません。
尿道炎の症状には、
などがありますが、無症状のこともあります。
症状の有無だけでは感染しているかどうかは判断できないため、気になる症状がある場合や感染の機会があった場合は検査を受けることが大切です。
原因が分かれば適切な治療法を選択でき、多くの場合は改善が期待できます。
一人で悩み続ける必要はありません。
正しい知識を持ち、適切な検査と治療を受けることが、ご自身の健康だけでなく大切なパートナーを守ることにもつながります。
この記事が不安の解消に役立ち、皆さまが安心して適切な行動を選択できることを心より願っております。
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