HIVという言葉を一度は耳にしたことがあると思います

HIVとは、ヒト免疫不全ウイルスHuman Immunodeficiency Virus)の略称です。

現状、HIVを短期間で根治するための薬は、日本でも世界でも開発されていません。

研究データでは、体内に侵入したHIVが潜伏感染している細胞を完全に排除するために、平均73.4年必要といわれています。そのため、HIVは、現代の医学では完全に治すことができない感染症といわれています。

HIVに感染したまま治療せずにいると、数年後には後天性免疫不全症候群【Acquired immune deficiency syndrome AIDS(エイズ)】を発症し、高い確率で死に至るとされています。

そのため、世界各国でHIV治療の研究開発が進み、現在では感染早期に治療を行えば、ほとんどの人は後天性免疫不全症候群【Acquired immune deficiency syndrome, AIDS(エイズ)】にならないといわれています。

PEP(ペップ)という方法

近年、研究開発が進む中で、アメリカやイギリスなどのHIV先進国を中心に国策として行われている予防医療に、PEP(ペップ)という方法があります。

PEPとは、曝露後予防(post exposure prophylaxis)の略語です。HIVに感染したかもしれない行為の後(曝露後)72時間以内に、抗HIV薬(HIVに対する治療薬)の内服を開始して、HIVに感染するリスクを低下させる予防策のことをいいます。

PEPが開始された場合、11回か2回(選択された組み合わせにより異なります)の内服を28日間続ける必要があります。

PEPとは

医療従事者の職業的曝露に伴うHIV感染を予防するために考えられたHIV感染予防医療です。

PEPの対象となる方は、HIV感染者(あるいはその可能性がある人)の血液や体液が粘膜に付着したり、使用した医療器具で自分の体を傷つけた方や、HIV感染者(あるいはその可能性がある人)と性交渉を行ってしまった方が対象となります。ご自身がすでにHIVに感染している場合は、PEPの対象にはなりません。

医療現場で起こってしまった血液曝露は、各病院の責任の下で医療従事者に対しPEPを実施しますが、性交渉後の曝露後予防を目的とした抗HIV薬内服は日本では未承認のため、通常の医療機関では一般の方がPEPを受けることはできません。

HIV先進国に比べて、日本のHIV患者数は毎年1000人弱と多くはありませんが、今後は東京オリンピックなどの国際行事を通じて国際交流が活発化するので、HIVの脅威に晒される人も確実に増えると予測されます。

国の柔軟な姿勢と早急な対応が求められています。