PrEP(プレップ)の処方と購入ができる病院・医療機関はどこ?

皆さん、HIVという言葉を一度は耳にしたことがあると思います。

HIVとは、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)の略称です。

現状、HIVを根治するための薬は、日本でも世界でも開発されておらず、完全に治すことができない感染症といわれています。

また個人差はありますが、HIVに感染したまま治療せずにいると、数年後には後天性免疫不全症候群【Acquired immune deficiency syndrome  AIDS(エイズ)】を発症し、高い確率で死に至るとされています。

国連合同エイズ計画(UNAIDS)の発表によると、1959年にHIVが発見されてから2015年までの間に、HIV感染が原因で約3500万人の方が死亡しています。また、約3600万人の方が現在もHIVと闘病していると報告されています。

世界各国でHIV治療の研究開発が進み、現在では感染早期に治療を行えば、ほとんどの人は後天性免疫不全症候群【Acquired immune deficiency syndrome, AIDS(エイズ)】にならないといわれています。

近年、研究開発が進む中で、アメリカやイギリスなどのHIV先進国を中心に国策として行われている予防医療に、PrEP(プレップ)という方法があります。

PrEPとは、曝露前予防(Pre-Exposure Prophylaxis)の略語です。HIV感染のリスクが非常に高い方(セックスパートナーがHIV感染者など)が、原則として毎日1錠のHIV治療薬を内服し、HIV感染を予防する方法です。

アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は、PrEP(プレップ)を行うことで90%以上の高い確率でHIV感染が予防できると発表しています。

HIVに対して高い予防効果を発揮するPrEP(プレップ)ですが、残念ながら国内においては予防医療として保険は適用されず、保険証を使用して治療を行えないのが現状です。

2018年2月現在、東京都内でPrEPを実施している病院は、医療法人社団七海会あおぞらクリニックと、研究目的で3年間実施することが決定した国立国際医療研究センター内にあるエイズ研究センターだけで、これらの医療機関でしか予防医療が行えないのが現状です。

その理由はいくつかあると推測されますが、最大の要因は、『治療』ではなく『予防医療』だからだと考えられます。

国内の保険医療制度の現状として、インフルエンザなど感染症ワクチンに関しては基本的に保険を使用することが出来ず、自費もしくは各自治体の医療費の一部控除などで予防医療を行っている状況です。

その他の要因として、PrEP(プレップ)は高度な先進医療であるため、国策として実施している国には研究データがありますが、国内には独自の研究データが存在しないことが考えられます。

2018年2月に、日本のPrEP(プレップ)研究としてはじめて国立国際医療研究センターが、男性同性間性行為を行っている120人の限られた条件の対象患者に研究を始めました。

日本国内において、全ての方を対象にPrEP(プレップ)を行っている医療機関は医療法人七海会あおぞらクリニック新宿院・新橋院だけです。

今後は日本国内においても、さまざまな研究や検証が行われ、保険医療や自治体の控除などでPrEP(プレップ)を受けることができる時が来るかもしれません。ただし、それには様々なハードルがあると予測されます。

 

PrEP(プレップ)が日本国内で保健診療認可されるまでにある多くのハードル

①国内で研究や検証を積み重ねていくために時間を要する。

②アメリカやイギリスなどのHIV先進国に比べるとHIV患者数に大きな差があるので、検証に時間がかかる。

③国内の医療保険自体が財政的に逼迫(ひっぱく)しているので、財源が確保できるか難しい。

④HIV治療薬の価格が非常に高い。また、後発薬(ジェネリック)ができるまでに時間を要する。

⑤HIV先進国に比べるとHIV患者数が圧倒的に少ないため、保険診療として認可されるのが難しい。

現状、PrEP(プレップ)など保険適用されていない先進医療を受けるには、保険診療ではなく自由診療を行っているごく一部の限られた病院だけになります。

 

HIV先進国に比べて、日本のHIV患者数は毎年1000人弱と多くはありませんが、今後は東京オリンピックなどの国際行事を通じて国際交流が活発化するので、HIVの脅威に晒される人も確実に増えると予測されます。

国の柔軟な姿勢と早急な対応が求められています。