本当にHIV感染しない薬はあるのか?

皆さん、HIVの感染を未然に防ぐための予防治療があることをご存知でしょうか?

アメリカやイギリスなどのHIV先進国を中心に国策として行われている予防医療に、PrEP(プレップ)という方法があります。

PrEPとは、曝露前予防(Pre-Exposure Prophylaxis)の略語です。HIV感染のリスクが非常に高い方(セックスパートナーがHIV感染者など)が、原則として毎日1錠の抗HIV薬を内服し、HIV感染を予防する方法です。CDC(アメリカ疾病管理予防センター)は、PrEP(プレップ)を行うことにより90%以上の高い確率でHIV感染が予防できると発表しています。

PrEP(プレップ)という予防医療をはじめて確立した国はアメリカです。2012年にFDA(アメリカ食品医療局)がHIVの予防目的で承認しました。2014年にCDC(アメリカ疾病管理予防センター)は、HIV予防医療のガイドラインを策定しています。これを受けて2015年にはWHO(世界保健機構)も、感染リスクが高い人達に対してPrEP(プレップ)を推奨し、ガイドラインを策定しています。現状、EU諸国(イングランドやフランスなど)やアジア圏の国(タイや台湾など)で導入が進められています。

20182月には、国立国際医療研究センターが日本の研究としてはじめて、男性間性交渉を行っている120人の限られた条件の対象患者に導入を始めました。

PrEP(プレップ)HIV感染に対して高い予防効果を発揮することは、諸外国の研究により立証されています。しかし、残念ながら国内においては予防医療として保険は適用されておらず、健康保険を使用してPrEP(プレップ)を行うことはできません。

国内のPrEP(プレップ)認知度は近隣諸国に比べ未だ低いですが、MSM(男性間性交渉者)をはじめとしたHIV感染リスクの高い人々を中心に、徐々に口コミでは浸透し始めています。

しかしながら、日本はもちろん、HIV予防医療を推奨している国の一部では十分な認知と実施がされているとは言えません。特に国内でPrEP(プレップ)が十分に浸透していない原因として、大きく2つが考えられます。

1つ目の理由として、HIV薬による予防治療が健康保険では未承認のため、保険診療を行っている病院ではHIV予防薬を購入することができないためと考えられます。たとえ自由診療の病院であっても、HIV予防医療を行っている施設はまだ限られているため、購入するには大きな制限があります。

20182月現在、日本国内でHIV予防薬の購入が可能な医療施設は、あおぞらクリニック新宿院、新橋院の2病院のみです。

2つ目の理由として、PrEP(プレップ)で使用する抗HIV薬が、非常に高額であるためと考えられます。

PrEP(プレップ)はHIV予防薬を毎日飲み続ける必要があるため、経済的に困難と考える方が多いと推測されます。

PrEP(プレップ)で使用する抗HIV薬は、特許期間が経過しているために後発薬(ジェネリック)を製造することが可能ですが、国内で抗HIV薬の後発薬(ジェネリック)を製造・販売している製薬会社はまだありません。

HIV先進国では、国策としてPrEP(プレップ)が認知されており、後発薬(ジェネリック)も製造・販売されているため、現実的な価格でHIVを予防することができます。

PrEP(プレップ)の個人輸入はできる?

現在、日本人がPrEP(プレップ)を行うためには、処方可能な病院で先発薬を購入するか、後発薬(ジェネリック)を製造・販売している海外から個人輸入するかのどちらかになります。

近年、インターネットの普及により様々な物を気軽に買うことが出来るようになりました。薬の購入も同様です。しかし、後発薬を海外から個人輸入したり、個人輸入代行業者から購入する場合には、様々なリスクを考えければなりません。

PrEP(プレップ)個人輸入代行を使うこれだけのリスク!

日本国内で正規に流通している薬は、医薬品医療機器等法に基づいて、品質や有効性及び安全性が確認・保証されています。しかし、個人輸入される海外製品にそのような保証はありません。

薬を製造・販売している国により、医薬品等の品質や有効性及び安全性についての検証はなされていますが、基準は国により異なるため、日本と同じレベルでの検証が行われていない場合があります。

品質等の確認が行われていない医薬品等は、期待する効果が得られなかったり、人体に有害な物質が含まれている場合もあります。また、薬を製造する環境基準も異なるため、購入する国によっては不衛生な場所や方法で製造された可能性があります。

驚くべきことに、虚偽又は誇大な効能・効果、安全性などを標ぼうして販売等されていることが実際にありますが、外国語で記載されているため、購入する国の言葉に精通していないと内容を正確に理解することは困難です。

悪質な個人輸入代行業者も存在します。薬の形や入れ物を正規に販売しているものとそっくりに偽造し、悪意をもって販売しているところまであります。

万が一、個人輸入または個人輸入代行業者から購入した薬を服用後に副作用症状が現れた場合、国内未承認の医薬品等については、医師や薬剤師でもその成分や作用等に関する十分な情報を有しておらず、副作用等に迅速に対応することが困難になります。

以上のことから、個人輸入や個人輸入代行業者から購入することにより、先発薬よりはるかに安価な後発薬(ジェネリック)を購入できるメリットはありますが、それを上回る危険性もあるため注意が必要です。