梅毒とは

梅毒とは、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)という菌が原因となる感染症です。感染者の血液・体液・精液・感染性のある皮膚病変が、傷ついた皮膚や粘膜と直接接触することで感染する可能性があります。

具体的には、膣性交、アナルセックス(肛門性交)、口を使用した性行為(オーラルセックス)やキスによる接触感染です。トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)は、傷や粘膜に接触することで血液中に侵入し、個人差はありますが数時間の間に全身を回り、脳にまで達するといわれています。

梅毒に感染すると

梅毒に感染すると、初期症状として体の色々な箇所に『しこり』ができることがあります。

男性と女性とで『しこり』の現れる場所が違うことがあるので、詳しく解説をしたいと思います。

コリコリとした軟骨のような硬いしこり

初期硬結(しょきこうけつ)

梅毒に感染してから、3日~3週間ぐらいは何も症状が出ない時期が続きます。

その後、初期症状として、梅毒の原因菌である『トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)』が侵入した部分に菌が増殖し、軟骨のような小さな硬いしこりができます。これを初期硬結(しょきこうけつ)といいます。

男性の場合

男性の場合、亀頭や陰茎、性器周辺の皮膚にできることが一般的です。特に、亀頭と陰茎の間の部分(冠状溝:かんじょうこう)のことが多いです。

トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)』は傷から侵入するため、初期硬結ができたとしてもほとんどの場合は一個~数個しかできません。しかし、オーラルセックス(口腔性交)によって『トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)』に感染した場合、感染した場所に無数の初期硬結が発症することがあります。

これは、オーラルセックス(口腔性交)中に、相手の歯が亀頭や陰茎に当たることで、亀頭粘膜や陰茎の皮膚に目には見えない傷が作られることによるものと考えられます。

女性の場合

女性の場合、小陰唇や大陰唇周辺の皮膚、子宮膣部にできることが一般的です。初期硬結ができた場合、個人差はありますが、痒みや痛みのないことがほとんどです。

女性の性器は、男性の性器とは異なり身体の中に入り組んでいる構造のため、子宮膣部に初期硬結(しょきこうけつ)が現れても自身で気がつくことが困難とされています。

男女共に、感染者とのキスや性器を舐めるような接触があった場合、稀に口の中の粘膜や咽頭周辺の粘膜にできることがあります。個人差はありますが、軟骨ぐらいの硬さのことがほとんどです。

初期硬結ができた場合

初期硬結ができた場合、痒みや痛みのないことがほとんどです。

時間とともに自然に消えてしまうことがあるため、初期硬結ができたとしても消えるまで自覚できず、症状に全く気付かない方も多いです。感染者全ての15%程度で症状が発生するといわれています。

初期硬結はそのまま放置しているとキレイに消えてしまいますが、その一部が皮膚の傷となり潰瘍に見えることがあります。

 

しこりの中心の皮膚がヘルペスのようにただれることがあります

硬性下疳(こうせいげかん)

初期硬結(しょきこうけつ)の一部で、皮膚が傷になり潰瘍ができたように見えることがあります。これを硬性下疳(こうせいげかん)といいます。

男性の場合

硬性下疳(こうせいげかん)は初期硬結(しょきこうけつ)と同じく、男性の場合、亀頭や陰茎、性器周辺の皮膚にできることが一般的です。最も多くできる場所は、亀頭と陰茎の間の部分(冠状溝:かんじょうこう)です。

女性の場合

女性の場合は、小陰唇や大陰唇周辺の皮膚、子宮膣部にできることが一般的です。女性の性器は、男性の性器とは異なり身体の中に入り組んでいる構造のため、子宮膣部に初期硬結(しょきこうけつ)が現れても自身で気がつくことが困難とされています。

その他、感染者とのキスや性器を舐めるような接触があった場合、口の中や咽頭周辺の粘膜にできることもあります。

男女共に、感染者とのキスや性器を舐めるような接触があった場合、稀に口の中の粘膜や咽頭周辺の粘膜にできることがあります。

硬性下疳(こうせいげかん)は、痛みや痒みが強いような印象があるかもしれませんが、そのほとんどは自覚症状を伴いません。しかし、皮膚がびらん・潰瘍を形成するため、皮膚のバリア機能が低下し、一般細菌やカンジダなどの真菌に重複感染して痛みや痒みを伴うことがあります。

硬性下疳(こうせいげかん)は、ヘルペスや一般細菌に感染した時のような症状なので、視診だけで病気を特定することは皮膚科の専門医でも容易ではありません。また、時間の経過とともに症状が消失してしまうため、症状に気づいたとしても、自然治癒したと誤認してしまうことが多いので注意が必要です。

足の付け根や首のリンパ節が硬くなることがあります

無痛性横痃(むつうせいおうげん)

トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)が感染した周囲のリンパ節が腫脹する(腫れる)状態です。一般的に無痛性のリンパ節腫脹のことが多いですが、痛みを伴う場合もあります。

梅毒の感染経路で最も多いのは性器周囲のため、鼠径部(そけいぶ)のリンパ節が腫脹することは有名です。ただし、セックスの多様化によりキスやオーラルセックス(口腔性交)をおこなって、頸部のリンパ節腫脹が起こることもあります。

梅毒の感染によって鼠径部または頸部のリンパ節が腫脹する時に、多く場合は両側共に腫脹しますが、片側のみのこともあるため注意が必要です。

無痛性横痃(むつうせいおうげん)には男女の差はありません。トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)が最初に感染した場所の近くにあるリンパ節が硬くなり、しこりのように感じることがあります。

また、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)が性器や咽頭に感染しても、横痃(おうげん:リンパ節の腫脹)が起こらないケースもあります。

感染のリスクがある方は積極的に検査を受けることをおすすめします。咽頭炎・扁桃炎などといった風邪症候群によってもリンパ節の腫脹は起こるため、症状だけで梅毒かどうかを判断することは非常に困難とされています。