鼻がもげる』とか、『鼻が落ちる』など、聞いたことがある方もいらっしゃると思います。

梅毒の原因菌である、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)感染した時、『鼻がもげる』とか、『鼻が落ちる』など、聞いたことがある方もいらっしゃると思います。

これはゴム腫と呼ばれる非特異的肉芽腫様病変(ひとくいてきにくげしゅようびょうへん)が鼻中隔(びちゅうかく:左右の鼻を仕切る部分)にできることに起因しておこる現象です。

鞍鼻(あんび)ともいいます。

ゴム腫は鼻中隔だけでなく、内臓・骨・筋肉・皮膚などいたる所に症状を起こしますが、特に顔面、鼻・唇・前額部(ぜんがくぶ)・頭蓋骨周辺(ずがいこつしゅうへん)に好発します。

骨病変は、骨折や関節破壊の原因となるため注意が必要です。皮膚病変は、表在性(ひょうざいせい)の小さな結節(けっせつ)から、深い潰瘍形成を伴うものまで症状は様々です。

放置しておけば自然と消えますが、跡が残ります。そして、ゴム腫は繰り返し発生するため、段々と跡が増えて外見的にひどい状態になっていきます。

「梅毒で鼻が落ちる」と言われる状態(鞍鼻:あんび)

ゴム腫が鼻骨にできると、鼻骨がくずれて「梅毒で鼻が落ちる」と言われる状態(鞍鼻:あんび)になります。

第二期までに治療を受ける感染者がほとんどのため、現在この『鼻がもげる』ような症状を見ることは非常に稀とされています。

 

非特異的肉芽腫様病変(ひとくいてきにくげしゅようびょうへん)はマクロファージなどの細胞が増殖して結節を形成したものです。

体内に侵入した病原体などの異物をマクロファージが分解・排除できない場合に、異物を取り囲んで組織の中に閉じ込めることによって異物の作用を抑える、免疫反応で形成されます。

非特異的肉芽腫様病変(ひとくいてきにくげしゅようびょうへん)

非特異的肉芽腫様病変(ひとくいてきにくげしゅようびょうへん)は梅毒感染者にみられる特異的な症状ではなく、

細菌や寄生虫、真菌やウイルスなどの感染症や悪性新生物(あくせいしんせいぶつ:癌など)でも非特異的肉芽腫様病変(ひとくいてきにくげしゅようびょうへん)を形成することがあります。

診察だけで、原因を鑑別することは困難なため、症状が現れる場合は、早急に病院を受診することをお薦めします。