梅毒の感染経路

トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)は、感染者の皮膚や粘膜、血液、体液に潜んでいます。避妊具を使用しない膣性行為だけでなく、オーラルセックスやアナルセックス(肛門性交)、キスだけでも感染するほどの強い感染能力があるとされています。

皮膚や粘膜の小さな傷から侵入することによって感染し、数時間後には血液に乗り全身にまわり、時間の経過と共にさまざまな症状を引き起こします。

母子感染について

皮膚や粘膜の直接的な接触を介した感染以外に母子感染というものもあります。母子感染とは、梅毒にかかっている女性が妊娠した際、胎盤を通して胎児にトレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)が感染してしまうというものです。

胎児がトレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)に感染したことを『先天性梅毒』と呼びます。母子感染は、妊娠した女性が梅毒に気がつかなかった、あるいは治療しなかった場合にのみ起こります。

しかし、最近では妊娠初期の段階で、梅毒に罹患していないか検査をすることが義務付けられています。そのため、母子感染が起こった場合、比較的早期に発見されるケースが多いとされています。

 

医療行為や医療事故で感染する可能性について

梅毒の感染経路として、感染者からの血液や臓器の提供、または感染者に使用した医療機材の接触(針刺し事故や、粘膜暴露)があります。

この問題は比較的、医療従事者に多い問題です。血液や臓器提供などの医療行為を受ける場合、事前に感染症の有無については必ずと言っていいほど実施された状態で行われるため、治療を受ける方が感染することは現実的に考えにくいです。

どちらかと言うと、医療現場で働く医療従事者が医療事故で感染する可能性があります。医療現場での医療事故やミスは、頻度は違えど、必ずといっていいほど一定の確率で起こっているからです。

梅毒トレポネーマは感染者の血液や体液の多く存在するため偶発的な事故が原因で医療従事者が感染することがあるので注意が必要です。

 

トイレ、プールなどの公共施設で感染する可能性について

お風呂や銭湯、プールやトイレの便座など、不特定多数の他人と間接的に皮膚や粘膜を共有する場では、感染するのではないかと不安になることでしょう。

結論からいうと、そういった場で梅毒に感染する可能性は非常に低いです。梅毒の原因であるトレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)は、乾燥や温度変化に弱いという特徴があります。

また、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)は人の体液内という低酸素状態でしか生きられず、ひとたび体外へ出てしまうと、途端に感染力を失うという特徴があるからです。

そのため、お風呂や便座、プールなどで、皮膚や粘膜が間接的に接触する程度では、感染する可能性はほぼありません。

また、感染者と同じタオルを使ったり、同じ食器で食べまわし・飲みまわしをしても感染する可能性は非常に低いですが、感染者とわかっている方の食器やタオルを感染者の使用直後に共有したり、歯ブラシやカミソリなどの出血を伴う可能性のある日常生活道具を共有することはできるだけ避けた方がより安全と言えます。